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不況に負けるな!大事なのは「強い思い」倒産から復活のシュークリーム店

会社の買収と倒産という2度の危機を乗り越え、元社員が復活させたシュークリーム専門店がある。新宿区の早稲田大学近くに7月にオープンした「Boon’s CREAM PUFF」(ブーンズ・クリーム・パフ)だ。年間1万5千件が倒産する大不況。井上常男社長(52)は「立派な経歴も学歴も必要ない。やるんだという強い思いがあれば、必ず再起できる」と胸を張る。

関西と東京でシュークリーム専門店を展開していた「芦屋タカトラ」の東日本営業統括部長だった井上さんが“最初の危機”に見舞われたのは2年半前。「原料が入らないことが何回かあり、ある日突然、会社が買収されてしまった」

1日100万円を売る行列店もあり、売れ行きは悪くなかった。ところが親会社の懐事情が悪化。買収後の今年2月、またも工場に卵が入ってこなくなった。

その日の夜、親会社に集められた井上さんら幹部社員は、「あすで会社は終わる。午後6時をもって従業員を即日解雇するように」と告げられた。

翌日、十数店で抱えていた社員やアルバイト約200人に事情を説明。そのほとんどは井上さんが採用した従業員だった。

取引先には謝罪の電話をかけ続けた。非難は覚悟の上だったが、取引先の一つ、三越恵比寿店は「再スタートするならうちとやろう」と励ましてくれた。

幸い経営陣でなかったため、会社の負債は抱え込まずに済んだ。井上さんは翌月、東京にいた元社員2人と新会社を設立。買収されてから原料の質が落ちていたが、「本当においしいシュークリームをもう一度作ろう」という井上さんの呼び掛けに、工場や店で働いていた従業員が一人、また一人帰ってきた。

解雇され実家に戻ったものの、井上さんから誘われて再び働き始めた増田裕美店長(22)は「周囲からはまたつぶれるんじゃないかと止められたが、新しいお店をやると聞いて、驚きとともにワクワクした」と振り返る。

ほどなく、三越恵比寿店に出店が決まった。それが資金借り入れ時の“実績”となり、念願の本店が7月にオープン。小さな喫茶スペースもある店内には、家族連れや男性客が多い。店名の「Boon」とは「愉快な」「楽しい」という意味。井上さんが仲間たちの顔を見ているときに浮かんだ言葉だ。

倒産から復活へ走り回った半年が過ぎ、師走のまちには派遣切りや就職難など暗いニュースがあふれる。仕事を失うつらさは痛いほど分かるが、あきらめてほしくないと井上さんは言う。

「頑張って出来ないことはない。必要なのはやるんだという強い思いです」
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